CPUの交換
CPUの場合もそれ程悩むことはないだろう。K6-2が出て、それがものすごく安いのならば他に選択肢があろうか。既にK6-2搭載が可能なマザーボードを購入してある場合、よほど特別な事情(とにかく安さ命でいくとか、よりジャンクなことをやりたいとか)でもない限りCyrix等の他の互換CPUを選択する必然性はない。もちろんP55Cも同じだ。もしSocket7でなかったのなら、今ならceleronという選択肢はあったかもしれないが、それは既に遅い。
[AMD K6-2 プロセッサー]
動作周波数もあまり考える必要はないだろう。333MHzと300MHzと266MHzが出ているが現時点(6月24日現在)では333MHzは無いし、アナウンスされているベースクロック(それぞれ95MHz、100NHz、66MHz)をみると300MHz以外選択の余地がないような気がする。266MHzも確実に300MHzで動くなら100MHzx3でいく事を想定して、選択肢の中に入ってくるが、K6のオーバークロック耐性に多大な期待をしてはいけない。既にあまり耐性がないという報告があちこちで上がっている。Pentium-II 266MHzがガンガン350MHzなどで動いているからといって、K6もいけるかもしれないなどと思うことは幻想にすぎない。300MHzでもまだ350MHzで安定して動かしているという話は殆ど聞かない。
266MHzでは300MHzが何とか動くかもしれないという状態だ。もし300MHzで動かないのなら、外部100MHzを実現できないか、100MHzx2.5(250MHz)という動作周波数を下げるという手段を使うしかない。112MHzx2.5(280MHz)という可能性もないではないが、これこそただの希望に過ぎないし、今時300MHz未満というのもさみしい。AX59Proには90MHzというちょっと変わった外部周波数や83MHzや75MHzなどもあるので、いろいろな組み合わせを考えてみたが、いいパターンが見つからない。
333MHzが買えたとしても同じような事情がある。この場合95MHzなどという外部クロックがない以上最初からなんらかの規定クロックと違う周波数で動かさないといけない。たぶん100MHzx4(400MHz)では動かないだろう。100MHzx3.5(350MHz)ではあまり面白くないし、下手するとこれも動かないかもしれない(少なくと保証を超えている訳だから)。この場合もなかなか美味しいパターンが見つからない。
300MHzとても、オーバークロックを前提をする場合、パターンが豊富な訳ではない。たぶん100MHzx3.5(350MHz)は動かないだろうし、112MHzx3(336MHz)はマザーボード選択の頃からターゲットにしていた周波数だが、可能性は五分五分だろう。他にはやはりいいパターンは見つからない。しかし最悪100MHzx3でも目標の外部100MHzと内部300MHz以上を実現できるのだから、涙を飲んで我慢できる範疇ではある。
先週(6月14日)の暴落から一転して、少しではあるが今週は上がってしまった。 しまった! 先週買っておけば良かった。後悔先に立たず。まあ最安値(先週は22,500円で今週は22,800円)で300円違いだからいいかと気を取り直す。ちょっと事情がありこの週末も秋葉にはいけず、水曜日(24日)に休みが取れたので、朝一で秋葉へ向かった。
うーん、多少は週内に入荷があって価格が変わり、先週の最安値に戻しているかと思ったが、先週の最安値店(DOS/Vパラダイス2号店)にはそもそもものが無かった。ちょっと時間が早くて(10時半)まだ開店してない店が多いので、全部調べた訳ではないが、在庫店が極端に少ない。先週末、異常な売れゆきだったようである。それにやはり入荷は週末に向けてされるのかな。新たに入荷している様子もない。水曜日という曜日は不利だったかもしれない。しかし次週末にそれほど価格が下がることも期待できないし、足代と既に買う気で来ている自分の気持ちを考えても数百円の差なら買っていくしかない。
しかし捨てる神あれば拾う神あり、まだ開店前の秋葉原エレクトリックパーツにぽつんと一つ22,500円で置いてあった。全店を見ないうちに買うのは私のポリシーに反するが、絶対最安値と確信し、一つしかないのですかさず買ってしまった。その後一応一通りFANを探しながら見て回ったがやはり最安値だった。ホッ!
[AMD K6-2 プロセッサー]
コア電圧2.2Vが0.25ミクロンプロセスの証だ。
CPU FANとヒートシンクについては、FMVの場合CPUに接着剤でついていたし、大して大きくもなかったので流用はしないことにした。本当は風神が欲しかったが、AX59Proには付かなかった。オーバークロックを前提にしているので、なるべくいいものがほしい。とりあえずヒートシンクの表面積に着眼し、しかもK6-2対応とまで書いてあるCoolerMasterのドラコ(2,800円 パソコンシティ)に決める。今回のアップグレード費用は25,300円也。
帰ってきて交換。Socket7 CPUはパソコン部品の中でもっとも交換が容易なものの部類だ。電源コードの取り回し上、これを一旦抜いた程度で、他に外すようなものはない。ヒートシンクが結構付けにくいものがあるが、今回買ったものは簡単だった。
今までアップグレードしてきた手順からいうと、一旦66MHzx4で動かしてみたいところではあるが、他の部品の初期不良交換時期も迫っているので、とりあえず100MHzを早く確認したい。とにかくこの周波数が動かないのでは話にならない。その場合は交換という手段も残しておかなければならない。しかもメモリもいいのもを購入したのだから最速設定でいきたい。
外部100MHz、メモリバスクロック100MHz(CPU同期設定)はもちろんだが、一応最初はBIOSはデフォルト設定(CAS Latency 3など一連の設定が安全なものとなる)で起動してみる。問題なく起動する。WindowsもOK。では次にBIOSをTurbo設定(CAS Latency 2など一連の設定が最速になる)にしてみる。おお起動する、起動する。Windowsも全然問題ない。このままテストに突入しよう。
マシンは名は、「FMVP3-K62」と命名する。外部はもちろん100MHz
WinBench98 | ||||||
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マシン | CPU Mark | FPU WinMark | Business Graphic | Business Disk | High-End Graphic | High-End Disk |
FMV-DESKPOWER | 188 | 478 | 15 | 742 | 24 | 1550 |
FMV-MILLENNIUM | 187 | 483 | 32 | 761 | 37 | 1610 |
FMVP3 | 262 | 502 | 46 | 888 | 58 | 1970 |
FMVP3-SDRAM | 278 | 508 | 49 | 878 | 60 | 1920 |
FMVP3-K62 | 775 | 968 | 122 | 1050 | 154 | 2580 |
自作機 | 839 | 1740 | 120 | 1230 | 148 | 3300 |
激変した。CPU Markが当然のごとく著しく向上した。グラフィック系に至っては動作周波数で高い(337MHz)Pentium-II 自作機を抜いている。FPUはやはりIntel系にはちょっとかなわないようだ。ディスク系もドライブの違いとUltra-DMAがうまく動いてないためがちょっと劣っている。それでも周波数差を考えると肉薄したと言えるのではないか。
HDBENCH Ver 2.610 | ||||||||
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マシン | 浮動小数点 | 整数演算 | 矩形 | 円 | Text | Scroll | READ | WRITE |
FMV-DESKPOWER | 7636 | 8066 | 2018 | 576 | 1322 | 11 | 7366 | 7095 |
FMV-MILLENNIUM | 7595 | 8023 | 13374 | 1628 | 13193 | 544 | 7339 | 7308 |
FMVP3 | 7670 | 8104 | 21084 | 1927 | 18893 | 554 | 8873 | 8774 |
FMVP3-SDRAM | 7676 | 8103 | 21775 | 1907 | 18826 | 555 | 8469 | 8434 |
FMVP3-K62 | 18431 | 23073 | 42427 | 4167 | 27133 | 655 | 8699 | 8669 |
自作機 | 27357 | 21707 | 42360 | 4118 | 27012 | 553 | 11035 | 11002 |
既に整数演算では抜いている。浮動小数点演算はWinBenchと同じで追いつかないが、グラフィックも軒並み抜いている。ディスク系についてもWinBenchの結果を裏付けている。しかしこれは全体的に肉薄したというより同等と言えるだろう。
メルコベンチマーク | |||||||
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マシン | スクロール | 画像編集 | 図形描画 | CPU | RAM | HDD | CD-ROM |
FMV-DESKPOWER | 116 | 435 | 109 | 632 | 285 | 254 | 187 |
FMV-MILLENNIUM | 732 | 569 | 1180 | 632 | 261 | 244 | 187 |
FMVP3 | 1209 | 842 | 1309 | 638 | 328 | 357 | 187 |
FMVP3-SDRAM | 1357 | 835 | 1329 | 640 | 333 | 357 | 187 |
FMVP3-K62 | 2573 | 1764 | 1508 | 2209 | 958 | 943 | 187 |
自作機 | 2265 | 1985 | 2666 | 1467 | 2193 | 1650 | 761 |
これも向上著しい。ほとんどが自作機に肉薄している。図形描画の差がちょっと激しいの気になるが、CPUやメモリの値の不可解さからあまり参考になる数値ではない。
Intel Media Benchmark | ||||||
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マシン | Over | Video | Image | 3D | Audio | |
FMV-DESKPOWER | 71 | 56 | 95 | 90 | 77 | |
FMV-MILLENNIUM | 89 | 83 | 99 | 90 | 94 | |
FMVP3 | 106 | 105 | 106 | 107 | 109 | |
FMVP3-SDRAM | 109 | 107 | 108 | 109 | 113 | |
FMVP3-K62 | 330 | 410 | 1026 | 180 | 387 | |
自作機 | 457 | 537 | 1441 | 339 | 544 |
Intel系に圧倒的に有利なこのベンチテストで随分健闘した。周波数差を考慮しても合格点というところだろう。いずにしても以前とは格段に違う。
WinTach | ||||
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マシン | Word | CAD | SpreadSheet | Paint |
FMV-DESKPOWER | 62 | 146 | 42 | 60 |
FMV-MILLENNIUM | 156 | 559 | 374 | 254 |
FMVP3 | 214 | 691 | 439 | 306 |
FMVP3-SDRAM | 221 | 691 | 435 | 310 |
FMVP3-K62 | 478 | 1855 | 607 | 597 |
自作機 | 495 | 1855 | 594 | 540 |
これはまた殆どが自作機を抜いてしまった。16bitにはやはりK6の方が有利なのだろうか。
CoreTest (MB/sec) | |||||||||
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マシン | 1kB | 4kB | 16kB | 64kB | 256kB | 512kB | 1MB | 2MB | |
FMV-DESKPOWER | READ | 165 | 168 | 90 | 81 | 56 | 48 | 44 | 44 |
FMV-MILLENNIUM | READ | 165 | 167 | 91 | 80 | 50 | 50 | 45 | 45 |
FMVP3 | READ | 167 | 168 | 104 | 105 | 104 | 101 | 73 | 71 |
FMVP3-SDRAM | READ | 167 | 169 | 105 | 105 | 104 | 103 | 87 | 87 |
FMVP3-K62 | READ | 1095 | 1134 | 1140 | 330 | 253 | 239 | 199 | 186 |
自作機 | READ | 323 | 321 | 321 | 320 | 319 | 150 | 108 | 108 |
FMV-DESKPOWER | WRITE | 185 | 263 | 72 | 51 | 49 | 50 | 50 | 50 |
FMV-MILLENNIUM | WRITE | 180 | 243 | 79 | 50 | 49 | 50 | 51 | 50 |
FMVP3 | WRITE | 219 | 301 | 80 | 52 | 49 | 49 | 50 | 50 |
FMVP3-SDRAM | WRITE | 219 | 301 | 73 | 53 | 50 | 49 | 50 | 50 |
FMVP3-K62 | WRITE | 1095 | 1134 | 1137 | 187 | 139 | 130 | 110 | 104 |
自作機 | WRITE | 1063 | 1603 | 1816 | 302 | 303 | 220 | 181 | 180 |
Socket7の場合、2次キャッシュやメインメモリの読み書きにCPUが大きく関わっていようとは思わなかった。もちろん双方とも外部クロックの上昇(1.5倍)が効いているはずではあるが、上記の結果はその理論上の効果を超えている。ボトルネックが無くなって一気に今までのアップグレードの効果が花開いたという感じだ。
ReadとWriteの関係がPentium-II機と逆な場合があるなど、結果に説明がうまくできないものがあるが、いずれにしても大変健闘しているといえる。他のベンチで肉薄、または同等あるいは、超えている理由が裏付けられたようだ。
Superπ | ||||
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マシン | 104万桁 | |||
FMV-DESKPOWER | 30分12秒 | |||
FMV-MILLENNIUM | 30分15秒 | |||
FMVP3 | 19分20秒 | |||
FMVP3-SDRAM | 16分24秒 | |||
FMVP3-K62 | 9分27秒 | |||
自作機 | 5分43秒 |
WinBenchやHDBENCHの浮動小数点演算の結果通りである。今回のテストの中で最も変化の少なかったものになった。でも10分を割っており、当初から比べるとよくここまで来たものだ。
今のところまだ300MHzである。これで337MHzのPentium-II機と互角の勝負ができているのだからすごい。結局周波数差を考慮しても負けていると思われるのは浮動小数点に関わるものだけである。整数演算ではこの時点で既に抜いていることから考えると殆どのアプリケーション(特にビジネスアプリケーション)ではもう十分ということになる。浮動小数点が関わってくるのは通常3D描画くらいである。
まあ現実的なことを言えば、3Dゲームをやらない私や、このマシンの使用者である女房には整数演算の速さが重要であり、それを考えるとこのマシンの方がむしろいい訳である。当初の目的であった「Pentium-II 自作機に肉薄する」ということは、オーバークロックを待たずして、達成されたことをここに宣言する。
しかもK6-2には3DNow!という秘密兵器もある。浮動小数点に関してはそっちで補える。従って3DNow!さえ一般的になれば弱点はないのである。DirectX6では対応されることが既に分かっているし、アプリケーションも徐々に対応が進むだろう。
目標が達成されたとはいえ、オーバークロックは私の使命である。そのための準備も沢山してきたのだ。その話しはこちら「オーバークロック」をどうぞ。
イレギュラーなことをやる前に、これで一応すべての購入品が揃ったので、非常に重要な関心事である費用についてまとめよう。
CPU | 22,500円 |
CPU FAN | 2,800円 |
M/B | 15,800円 |
ケース | 12,800円 |
FDD | 2,980円 |
RAM | 12,800円 |
Video Card | 19,800円 |
計 | 89,480円 |
通常はこれにモデムが必要になるので、それが9,800円として、全部で10万円を辛うじて切った。目標の範囲内でなんとか収まった訳だ。パフォーマンスを見てみて頂ければ、これが極めて高いコストパフォーマンスであることが分かってもらえると思う。パーツの選択は間違っていなかったといえるだろう。
しかしこれはパーツ構成として、コストパフォーマンスの高いものが出来上がった訳で、方法論としてこれが最も安い手段であったかは、また別問題である。そもそも最近は自作はかえって高くつく傾向にある。全く新しいPCを作るのならショップブランドや直販メーカーの方が安いのが実状だ。しかし今回のようにアップグレードの場合、余計なものの購入をしなくて済む自作はそれなりにコスト的に有利になるはずだが、本当にそうなのか今回の場合でもう少し検証してみよう。
今回FMVのパワーアップとして、パーツ流用ということを基本に行ってきた。流用できるものは流用し、事実上不可能なものや、流用する意味のないものだけ購入という方針であった。しかし正直言うと現実はそうではなかった。たとえばCD-ROMである。FMVのものを流用するのに技術的には何の問題もないにだが、速度は4倍。昔のものなのでCD-RWは読めない。現在32倍速の最新パーツが1万円しないのである。今回10万ほどの費用をかけるなら、だれもがついでに交換しようと思うだろう。事実私も32倍速のATAPI CD-ROM「TEACのCD-532E/K」(9,500円)を買った。そうなると結局11万円である。
ショップブランドの例を挙げるとフロンチア神代で、今回の構成と殆ど同じマシンが138,000円で販売されている。これには私の今回の計上品と比べるとモデムがないが、その分ハードディスク(4GB)、サウンドカード(PCI)、キーボード、マウス(Inteli Mouse)がついている。とりあえず必要ないとはいえ、事実上消耗品に近いハードディスクなどはあっても困るものでのない。マウスもInteli Mouseなら別途購入したいくらいである。しかも1年間無償全国出張オンサイトサービスがついているのだから費用的には全くかなわない。
またTWO-TOPでもほぼ同じ構成で、さらにスピーカ、Windows95 OSR2.5(Windows98 UpGradeクーポン付き)がついて148,000円で出ている。こちらも保証はオンサイトではないが1年間ある。(現在は10周年Fair中でもっとすごいのもあるが、私はTWO-TOPの回しものではないし、一般論を述べたいのでこれは紹介しない) 他にも似たようなショップが沢山ある。
当然必要のないものは買いたくないということはあるだろうが、上記のCD-ROMの例に止まらず、購入の意味のないものは少ない。今回も結局サウンドカード以外のFMVが残った(ハードディスクもオリジナルのものは大変取り難いところにあるので、付けたままにして、アップグレード機には、以前増設したFB-STのみ移している)ので、当然これが使えないかと考える。後ディスプレイとキーボードがあれば(実はマウスはもう一つ持っている)りっぱなパソコンとして(音はでないが)使えるのである。
結局これを姉のうちにお下がりすることになった。ディスプレイは別途購入させるということだが、その費用として預かった4万円に私が足して19インチディスプレイ(飯山S901G 74,800円)を購入し、もちろんこれは私が使い、私のMT8517EはFMVP3-K62へ。サウンドカード(SB AWE64 Value 9,800円)、キーボード(2,980円)、スピーカ(もらいもの)も用意して、FMVP3-K62にはこれを使い、これで完全にFMVをオリジナルのまま一台余らせることができた。
結局ここまで買い揃えることになるのなら、費用的にはショップブランドの方が良かった訳である。とにかく大幅なアップグレードを行うと、余るパーツが大変多いので上記のような欲が必ず起きてくることを覚悟しなければならないといういい例であると思う。
当初から分かっていても、私には「自作ができる」という何にも代え難いメリットのためにショップからの購入という選択肢はなかっただろうが、純粋に安価なアップグレードを考えている人には十分考察の余地のある手段であると考えます。